日本語と中国語の違い・共通点をわかりやすく教えてほしい。
当記事ではこんなご要望にお答えします。
地理的にも文化的にも、その他諸国に比べて日本と近い関係にある中国。
「その中国で使用されている中国語」と「私たちが普段使う日本語」にはどんな違いがあるのか?共通点はあるのか?と気になっている人も多いはず。
そこで当記事では、日本語と中国語の違いと共通点を「漢字」「語彙」「発音」「文法」の4つの観点から比較して解説します。
「中国語を始める前に、まずは中国語の特徴を知りたい!」という方はぜひ参考にしてみてくださいね。
日本語と中国語の共通点と違い【漢字】
日本語と中国語はどちらも漢字を使用しますが、形が少し違います。
下記の表をご覧ください。
日本語の漢字 | 楽 | 国 | 車 |
---|---|---|---|
中国語の漢字① (簡体字) | 乐 | 国 | 车 |
中国語の漢字② (繁体字) | 樂 | 國 | 車 |
このように、中国語の漢字には2種類あります。
画数の少ないシンプルな「簡体字」は中国大陸、複雑で画数の多い「繁体字」は台湾・香港・マカオで使用されている漢字。
いずれも、日本語と全く同じ形のものもあれば、異なる形のものもあります。
はじめのうちは違和感があるかもですが、普段漢字に慣れ親しんでいる日本人であれば、少し勉強すればすぐに慣れますよ。
旧字と繁体字について
上記の表の繁体字を見て、「なんか見たことある!」ってなった方いませんか?
それもそのはず、実は戦前の日本では「旧字(繁体字とほぼ同じ)」が使われており、その名残が今もあちこちに残っているんです。
「日本人の苗字」や「新聞名」がその最たる例ですね。
例えば、國村の「國」、渡邊の「邊」、齋藤の「齋」はすべて繁体字。讀賣新聞の「讀賣」、産經新聞の「經」も同じく繁体字。
他にも、神社やお寺のお札とかにも、旧字(繁体字)が用いられていますよ。
日本語と中国語の共通点と違い【語彙】
中国語の漢字の約3割は、日本語と意味が同じです。
例えば、「日本人」は中国語で「日本人」、「お金」は「钱(銭)」、「図書館」は「图书馆」。
漢字の形は違えど、どれもこれもパッと見てすぐに理解できますよね。
全く中国語を勉強したことがない人でも、漢字を見れば30%くらいは意味がわかる。
この点、日本人は単語学習において、他の国の学習者よりも大きなアドバンテージを持っていると言えるでしょう。
ただ、注意しなければいけないのが、日本語と漢字は同じなのに、意味が異なる単語もあるということ。
中国語の意味 | 日本語の意味 | |
---|---|---|
走 | 歩く | 走る |
爱人 | 配偶者 | 愛人 |
真面目 | 本性 | 真面目 |
手纸 | トイレットペーパー | 手紙 |
先生 | ~さん (人に対する丁寧な敬称) | 先生 |
「走」とかなら別に使い方を間違っても大丈夫ですが、「爱人」を間違って使ってしまうと大きな誤解を招きかねません。
同じ漢字が用いられる日本人ならではの要注意ポイントだね!
カタカナ言葉に対応する中国語は厄介
中国語は英語よりもはるかに覚えやすい言語ですが、カタカナ言葉に対応する中国語だけは例外。
私たち日本人が日常頻繁に使う「カタカナ言葉(外来語 / 和製英語)」も、中国語ではもちろん漢字で表されます。
- レストラン:餐厅
- リモコン:遥控器
- キーボード:键盘
- ペットボトル:塑料瓶
- スペイン:西班牙
カタカナに依存している私たちにとって、上記のような単語を覚えるのは少し大変ですね、、、
日本語と中国語の共通点と違い【発音】
続いて、中国語と日本語の発音の共通点と違いについてみていきましょう。
ここでは、「①音節の構造」「②子音と母音の強弱」「③声調の有無」の3つの観点で両者を比較しますね。
①音節の構造
音節とは、音を区切る単位(ひとまとまりの音)のこと。
中国語と日本語の音節はどちらも「母音のみ」、もしくは「子音 + 母音」のセットからなります。
日本語の音節
中国語の音節
中国語の各音節は必ず「母音」で終わるため、英語のように「2語以上の音がつながるリエゾン」は起こりません。
Not at all:(ノット アット オール)ではなく、(ノダドォール)のような音になる
この点は日本語と同じですね。
ただ、各音節に含まれる母音の数は両者で異なります。
日本語は1つの音節につき母音は必ず1つですが、中国語は音節によっては2つ以上含まれますよ。
②子音と母音の強弱・長さ
日本語と中国語の音節の構造は似ていますが、発音方法は大きく異なります。
例えば、「ba」という音節。私たち日本人は普段、無意識のうちに「バ」と発音してますが、子音と母音に分けて考えると、
子音「b」:強く短めに
母音「a」:弱く短めに
読んでいるんですよね。
一方で中国語はというと、同じ音節「ba」であっても、
子音「b」:弱く短めに
母音「a」強く長めに
発音します。
両者の違いを図解にまとめると下記の通り。
日本語は「子音」メインの言語であるのに対し、中国語は「母音」を強調する言語。
そして、日本語は子音・母音のいずれも短く読む一方で、中国語は母音を長めに読みます。
この2つの違いをおさえておかないと、いくら母音・子音を正確に発音できても、少し違和感のある音になってしまいます。
子音・母音の発音の特徴はしっかりと頭に入れておこう!
③声調の有無
中国語の発音にあって、日本語にはないもの。それは「声調(音の高低 )」です。
中国語には5種類の声調があり、同じ音節(子音+母音)でも、音の上がり下がりによって意味が変わります。
例えば、「ma」を高い音程で平坦に発音すると、第一声「妈(mā)」(お母さん)という意味。高い音程から一気に音を下げて発音すると第四声「骂(mà)」(罵る/悪口を言う)の意味になります。
日本語の「橋(はし)」「箸(はし)」も音程によって意味が変わりますが、これらは音節内の音程ではなく、単語内の音節の強弱(アクセント)から生じるもの。つまり、声調ではありません。
声調は日本人にとって最大の壁!声調を攻略できるかどうかが発音習得の鍵を握るよ!
日本語と中国語の共通点と違い【文法】
ラストは、文法の共通点と違いを下記の8つに分けてそれぞれ解説します。
①動詞と目的語の位置
日本語と中国語で大きく異なる点は「動詞」と「目的語」の位置。
日本語は「主語(S) → 目的語(O) → 動詞(V)」の順番ですが、中国語は「主語(S) → 動詞(V) → 目的語(O)」と語順が逆転します。
日本語 | 私は 中国語を勉強しています。 |
---|---|
中国語 | 我学汉语。 |
英語 | I study Chinese. |
「動詞&目的語」の並びだけで考えると、中国語の文法は英語に似ていると言えますね。
②時と場所を表す語の位置
ただ、「時と場所を表す語」を含めると話は変わってきます。
下記の日本語と中国語の文を見比べてみてください。
日本語 | 私は今日、図書館で中国語を勉強しました。 |
---|---|
中国語 | 我今天在图书馆学了汉语。 |
英語 | I studied Chinese at the library today. |
「時間」「場所」に関する単語は同じ位置に配置されていますよね。
英語でそれらは文末に置かれますが、中国語は日本語と同じく、主語のあとに「時間 → 場所」の順に置かれますよ。
③前置詞フレーズの位置
上記で挙げた、場所を表す語句「在图书馆(図書館で)」は前置詞フレーズ(前置詞+名詞)の1つ。
今度は、この前置詞フレーズと動詞の位置関係に注目して、日本語と中国語の語順を比較してみましょう。
例①
日本語 | 私はあなたと会話したいです。 |
---|---|
中国語 | 我想和你聊天。 |
例②
日本語 | 私は毎朝8時から働きます。 |
---|---|
中国語 | 我每天从早上八点工作。 |
このように、中国語は日本語と同様、動詞の前に前置詞フレーズを置くのが一般的です。
ただ、前置詞フレーズの中身(「前置詞」と「名詞」)の位置は逆。日本語は「名詞 →前置詞」の並びですが、中国語は語順が反転し、「前置詞→名詞」となります。
日本語 | 私はあなたと会話したいです。 |
---|---|
中国語 | 我想和你聊天。 |
英語 | I want to talk to you. |
前置詞フレーズの位置は日本語と同じで、その中身の要素の語順は英語と同じだね!
④名詞を修飾する語・節の位置
続いて、名詞を修飾する語・節の位置を比較していきます。
中国語では、名詞を修飾する語・節(節:主語と述語を含む文の部品)はすべて名詞の前におきます。
例①
日本語 | 私はきれいな女性が好きです。 |
---|---|
中国語 | 我喜欢很漂亮的女生。 |
例②
日本語 | 私の趣味はランニングです。 |
---|---|
中国語 | 我的爱好是跑步。 |
例①では形容詞「很漂亮(きれい)」がうしろの名詞「女生(女性)」を、例②では代名詞「我(私)」が名詞「爱好(趣味)」を修飾していますよね。
例③
日本語 | 私が昨日行ったカフェはおしゃれだった |
---|---|
中国語 | 我昨天去的咖啡店很时尚。 |
形容詞や代名詞に限らず、例③のような「節」([我昨天去]の部分)が名詞に説明を加える場合も、名詞の前に配置します。
日本語もすべて前から名詞を修飾するので、この点は日本語と共通していますね。
⑤否定表現の位置
続いて、否定表現(~でない / ~しない)の位置を比較してみましょう。
例①
日本語 | わかりません。 |
---|---|
中国語 | 我不明白。 |
例②
日本語 | 彼は礼儀正しくない。 |
---|---|
中国語 | 他不礼貌。 |
日本語では「否定表現」を動詞(形容詞)のうしろにつけますが、中国語では前におきます。
動詞・形容詞の前に「否定表現」を置いて、以降の内容を「そうではないですよ」と指定する意識が働いています。
日本語とは大きく異なる部分ですね。
⑥助動詞の位置
次に比較するのは、助動詞(動詞に意味を添える語)の位置。
例①
日本語 | 私は英語が話せる。(話すことができる) |
---|---|
中国語 | 我会说英文。 |
例②
日本語 | 宿題をしなければならない。 |
---|---|
中国語 | 我得做作业。 |
否定表現と同じく、日本語は動詞のあと、中国語は動詞の前となります。
【補足】否定表現 + 助動詞のコンビネーション
文中に「否定表現」と「助動詞」の2つを含む場合は、中国語は英語の語順と反転します。
日本語 | 私は英語が話せません。 |
---|---|
中国語 | 我不会说英文。 |
英語 | I can not speak English. |
中国語は「否定表現 → 助動詞」の順に並べますよ。
⑦動詞・形容詞の活用
中国語は日本語と違い、動詞・形容詞の活用がありません。
用いられ方によって単語の終わりの形が変化すること。
例えば、日本語の動詞「行く」、形容詞「暑い」はそれぞれ、
- 未然形:行かない
- 連用形:行きます、行った
- 終止形:行く
- 連体形:行くとき
- 仮定形:行けば
- 命令形:行け
- 未然形:暑かろう
- 連用形:暑い、暑かった
- 終止形:暑い
- 連体形:暑いとき
- 仮定形:暑ければ
と文の種類によってさまざまな形に変化しますが、中国語では「去(行く)」・「热(暑い)」と動詞・形容詞の形は一定です。
もちろん、過去・完了を表す文でも形は「去」「热」のまま。「あれ?動詞の形なんだったっけ?」といちいち気にする必要がないので楽ですよ。
⑧量詞の有無
最後は「量詞(人や事物の単位)」について。
中国語も日本語と同じように、名詞(人・事物)の数量を数えるときに「量詞」をつけます。
日本語 | 中国語 |
---|---|
1人の男性 | 一个男生 |
1冊の本 | 一本书 |
3匹の猫 | 三只猫 |
中国語の量詞は日本語と比べて数が多いため、すべて覚えるのは大変ですが、概念は余裕で理解できるはずです。
まとめ
今回は、日本語と中国語の共通点と違いを4つの観点から比較し、紹介してきました。
ぜひ、中国語を学ぶ際は、「どんな点が違うのか?共通しているのか?」を意識しながら、学習を進めてみてくださいね。
学習効率がぐんとUPしますよ。
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