中国語の「就」をうまく使いこなせない… 意味・使い方をわかりやすく教えてほしい。
今回は副詞「就」の用法・使い方を解説するよ!
- 副詞「就」の6つの用法と例文
早速ですが、みなさん。1つ質問です。
「就」と聞いてどんなイメージが頭に浮かびましたか?
おそらくほとんどの人は「すぐに〜〜」「早く〜〜」がポンっ!と出てきたと思います。
確かにそういう意味もありますが、実は他にもたくさん用法があるんです。
ということで、「就」の主な意味を一気に見ていきましょう。
副詞「就」の用法と使い方
「就」には主に下記の6つの用法があります。
- 時間的な早さを強調する
- 範囲を表す
- 仮定・因果・条件の関係を表す
- 事実・態度を強調する
- うんざりする気持ちを表す
- 仕方なく受け入れる気持ちを表す
1つずつ説明しますね。
時間的な早さを強調する
1つ目の用法は「時間副詞」です。
「就」は「時間的・時期的な早さ」を表します。
ここでは下記の3つの意味に分けて、時間副詞「就」の使い方を見ていきましょう。
- すぐに / もうすぐ
- すでに / とっくに / もう
- 〜するとすぐ… / 〜したらすぐに…
すぐに / もうすぐ
まずは下記の例文をご覧ください。
例1)我明天就回国。
(私は明日帰国します)
例2)稍等一下。妈妈叫我。马上就回来。
(ちょっと待って。お母さんに呼ばれた。すぐに戻る。)
例3)我们下个月就要结婚了。
(私たちは来月結婚します)
これらの「就」はすベて、これから短期間のうちに起きることを表しています。
例2)のように同じ意味の副詞「马上」「立刻」などと一緒に使えば、時間的な早さをより強調できますよ。
あれ?例3)だけ形が違う。どうして?
例3)をよく見ると「就」のあとに「要」、そして文末に「了」がついてますよね。
「要」は「予定」を示し、「了」は「これから起きる変化」を表します。
「就要 〜 了」で「もうすぐ〜する(予定)」という意味なので、一緒に覚えておきましょう。
【補足】「就要」と「快要」の違い
「もうすぐ〜する」には「就要〜了」と「快要〜了」の2つの表し方があります。
両者の違いは下記の通りです。
- 就要〜了(何かが起こる時間が明確に決まっている)
- 快要〜了(何かが起こる時間が明確に決まっていない)
例4)这家咖啡厅就要关店了。
(このカフェはまもなく閉店します)
例5)作业快要结束了。
(宿題はもうすぐ終わります)
カフェの閉店時間はあらかじめ決まってますよね。カフェでくつろいでいる時に突然店主が「今日はもう閉めます」と言ってきたら「は?」ってなると思います。
一方で例4)の「もうすぐ終わる」はあくまでも話し手の主観であり、いつ終わるかは正確にはわかりません。
(10分後かもしれないし、30分後かもしれない)
時間が明確な場合は「就要」、あいまいな場合は「快要」と覚えておこう!
すでに / とっくに / もう
例6)他三岁就开始学英语了。
(彼は3歳でもう英語を学び始めた)
例7)九点开会,他八点就来了。
(9時から会議なのに、彼は8時にはもう来た)
例8)我一直就喜欢他的作品。
(私はずっと(早い段階から)彼の作品が好きです)
これらの「就」は、あることが「早い段階」で行われたことを表します。
もし例1)で「就」がなければ、単に「彼は3歳で英語を学び始めた」という事実を表す文になります。
「え!3歳でもう英語勉強してるの!」と時間的な早さを強調したい時は「就」をつけましょう。
また例3)のように、「就」はよく「一直(ずっと)」にくっつきます。
「早い段階から〜する」→「ずっと〜する」のイメージです。
〜すると(〜したら)すぐ…
例9)看这本书就困了。
(この本を読むとすぐに眠くなる)
例10)听了这个消息,他就去告诉大家。
(このニュースを聞いて、彼はすぐにみんなに知らせに行った)
これらの「就」はある動作が完了してから、すぐに別の動作を行うことを表しています。
2つの動作が続けざまに起きているイメージですね。
例11)我一回家就给你打个电话。
(家に戻ったらすぐに電話します)
「一 A 就 B」(AするとすぐにBする)も会話でよく出てきます。
意味は「一」がない文と同じだから、どちらを使ってもOKだよ!
範囲を表す
「就」は「数量・動作などの範囲(少ない・多い)」も示します。
- 数量・動作が少ない、足りない
→ ただ(〜しかない) - 数量・動作が多い、十分である
→ 〜も
の意味になりますよ。
それぞれ「使い方」を解説しますね。
ただ(〜しかない)
例12)他们都是中国人,我就是日本人。
(彼らはみんな中国人で、私だけが日本人です)
例13)他就学了一年汉语,但能说得很流利。
(彼は中国語を1年しか勉強してないのに、流暢に話せます)
例1では、大勢の中で自分だけが日本人、つまり人数が極めて少ないことを表しています。
そして例2では、「たった1年しか勉強していない」というふうに、期間の短さを示しています。
ちなみに、範囲を表す「就」は他の用法と違い、名詞や数量詞の前にも置けますよ。
例14)就一个人,能做什么呢?
(たった1人で何ができるんだ?)
例15)昨天的派对就他没参加。
(昨日のパーティーは彼だけ参加しなかった)
副詞は普通、動詞・形容詞の前におかれますが、範囲副詞「就」だけは例外です。
慣れないうちは頭が混乱するから、こういう使い方もあるんだくらいに思っておけばOK。
あれ?そういえば「只」も「〜だけ」って意味だよね?何が違うの?
「只」と「就」の違い
「只」と「就」の意味は似てますが、ニュアンスは少し異なります。
下記の例文をご覧ください。
例16)教室里只有两个学生。
(教室に生徒が2人だけいる)
例17)教室里就有两个学生。
(教室に生徒がたった2人しかいない)
「只」は「ただ〜」を表すのに対し、「就」は「たった〜しかない」と数量の少なさを強調しています。
数量・動作の少ないことをしっかり相手に伝えたい時は「就」を使いましょう。
〜も
例18)我们公司就有一千多个员工。
(私たちの会社には1,000人以上もの従業員がいる)
例19)今天的打工三个人就够了。
(今日のバイトは3人いれば十分だ)
このように「就」は数量・動作が多い、十分であることも表せます。
「ただ(〜しかない)」と「〜も」の区別について
すでにお気づきの方もいるかもですが、「ただ」「〜も」を表す文の構造はどちらも同じです。
どうやって区別するの?
文章中では、前後の文を見て、文脈から判断するしかありません。
会話の中では、アクセントをおく位置で区別します。
他一天就学三个小时。(彼は1日に3時間しか勉強しない)
他一天就学三个小时。(彼は1日に3時間も勉強する)
「少ないこと」を表したいなら「就」に、「多いこと」を表したいなら「就」の前の主語・数量詞にアクセントをおきましょう。
仮定・因果・条件の関係を強調する
「就」は複文で接続詞とよく一緒に使われます。
「複文の語順」(接続詞) A, 就 B
「就」が使われるのは、
- 仮定を表す複文(例:如果A,就B)
- 因果を表す複文(例:因为A,就B)
- 条件を表す複文(例:只要A,就B)
の3つの複文です。
1つずつ使い方をみていきましょう。
仮定の関係を強調する
仮定の複文とは、前節で「ある仮定」を提示し、後節で結果を述べる文のこと。
如果A就B / 要是A就B
(意味:もしAならB)
例えば下記の通りです。
例20)如果明天下雨,我就不去。
(もし明日雨が降ったら、行きません)
例21)要是有时间,我就去世界旅行。
(もし時間があれば、世界一周旅行に行く)
この時の「就」は、前の文の接続詞「如果(要是)」に呼応しています。
日本語訳にはどこにも「就」の意味が含まれてないため、一見「就」はいらなさそうですよね。
ただ、「就」は仮定の意味を強調するうえでとっても大事な言葉なので、省略はできません。
- 如果明天下雨,我不去。
- 要是有时间,我去世界旅行。
なお、仮定を表す構文では、
- 明天下雨,我就不去。
- 有时间,我就去世界旅行。
のように、前節の接続詞は省略できますよ。
「要是A,就好了」の2つの意味
「要是A,就好了」には、
- 「Aならいいのにな〜」と未来に対する願望や理想を表す
- 「Aでよかった」とすでに起きたことに対する安堵感を表す
の2種類の意味があります。
例22)要是跟白富美结婚就好了。
(肌が白くてお金持ちで綺麗な女性と結婚できればな〜。)
例23)要是今天不下雨就好了。
(今日は雨が降らなくてよかった。)
因果の関係を強調する
因果の複文とは、前節で原因・理由、後節で結果を述べる文のこと。
因为A,所以B就
(意味:AなのでB)
例えば下記の通りです。
例24)因为有兴趣,所以就查一下。
(興味があったので、検索しました)
例25)因为显示得太小了,所以我就不小心看漏了。
(表示が小さかったので、それを見落としてしまいました)
なお、因果を表す接続詞「因为」と「所以」は省略可能ですよ。
- 我很困,所以就睡觉了。
- 因为我很困,就睡觉了。
- 我很困就睡觉了。
条件の関係を強調する
条件の複文とは、ある結果を得るために必要な条件を提示する際に用いる文のこと。
只要A, 就B
(意味:AしさえすればB)
例26)只要努力学习,你就会有回报。
(一生懸命勉強しさえすれば、報われるよ)
例27)我只要现在开心就可以。
(今が楽しければそれでいい。)
このように、前の文で「ある条件」を提示し、後ろの文で「その条件さえ満たせば得られる結果」を表します。
条件 | 結果 | |
---|---|---|
例1 | 一生懸命勉強する | 努力が報われる |
例2 | 今が楽しい | 十分 |
表にまとめるとこんな感じですね。
事実・態度を強調する
「就」は事実・態度も強調します。(語気副詞と呼ばれる)
語気副詞「就」は日本人が1番苦手とする用法だから、使い方を押さえておこう!
事実を強調する
例28)他就是我刚才说的。
(彼は私がさっき言っていた人です)
例29)我就喜欢星巴克。
(私はスターバックスが好きなんです)
このように、事実がその通りであることを強調したいときは「動詞・形容詞」の前に「就」をつけます。
なお、例29)は数あるコーヒーチェーンの中でも特に「スターバックス」が好きというニュアンスです。
もし、「スターバックス」だけが好きである(他のチェーンは好きじゃない)ことを表したいなら、
例30)我只喜欢星巴克。
→ 「只」は範囲を1つに限定する
といえばOKですよ。
態度を強調する
例31)就不去!就不去!我就不去。
(行かない、行かない、私は行かない!)
お母さんに「ほら!さっさと準備しなさい。ピアノ教室行くよ!」と言われた子供が、地団駄を踏んで「いきたくない!」と叫んでいる文です。
「断固として拒否する」「生意気な態度を取る」ときに使える表現ですね。
うんざりする気持ちを表す
同じ2つの動詞の間に「就」を置くことで、勝手にしろという気持ちを示せます。
例32)你去就去,我不管。
(行くんだったら勝手に行け。もう知らない。)
仕方なく受け入れる気持ちを表す
同じ2つの形容詞の間におけば、ある条件を仕方なく受け入れる気持ちを表せます。
例33)贵就贵吧,没关系。
(高かったら高かったで、仕方ない)
まとめ
今回は、中国語の副詞の中でも特に用法が多く、使いこなすのが難しい「就」の使い方を解説しました。
最後におさらいしましょう!
用法①:時間的な早さを強調する
用法 | 文型 | 意味 |
---|---|---|
これから短期間のうちに 起きることを表す | ①主語+就+述語 ②主語+就要+述語+了 | すでに/とっくに/もう |
あることが早い段階で 起きたことを表す | ①主語+就+述語 | すでに/とっくに/もう |
ある動作の後にすぐ 別の動作を行うことを表す | ①A就B ②一A就B | Aすると(〜したら)すぐB |
用法②:範囲を表す
用法 | 文型 | 意味 |
---|---|---|
数量・動作が少ない 足りないことを表す | ①主語+就+述語 ②就+名詞 | ただ(〜しかない) |
数量・動作が多い 十分なことを表す | 主語+就+述語 | 〜も |
用法③:仮定・因果・条件の関係を強調する
用法 | 文型 | 意味 |
---|---|---|
仮定を表す | ①如果A 就B ②要是A 就好了 | ①もしAならB ②Aならいいのにな〜 (Aでよかった) |
因果を表す | 因为A(所以)就B | AなのでB |
条件を表す | 只要A 就B | AさえすればB |
用法④〜⑥
用法 | 文型 | 意味 |
---|---|---|
事実・態度を強調する | 主語+就+述語 | ①〜こそ…だ ②頑固として拒否する |
うんざりする気持ちを表す | 動詞+就+動詞 | 〜だったら勝手に…しろ |
仕方なく受け入れる気持ちを表す | 形容詞+就+形容詞 | 仕方ない |
一気にすべての用法を覚える必要はありません。
中国人と会話したり、中国ドラマを見たりして、「就」の感覚を1つずつ吸収していきましょう!
最後まで読んでくれてありがとう!
下記の記事で「才」の用法・使い方を解説しています。よければあわせてどうぞ。
中国語の副詞をマスターしよう
下記の記事では、副詞の語順・よく使われる副詞の意味をまとめています。
よければあわせてどうぞ。
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