「过」ってどんな時に使えばいいのかな?できれば「了」との違いも教えてほしい。
今回はこんな記事にお答えするよ!
- 「过」の用法と使い方
- 「过」の否定文と疑問文
- 「过」と「了」の違い
この記事を読んでいる方の中には、「过」=「経験」のイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
確かにそのイメージで間違いないのですが、実は他にも役割があるんです。
そこで当記事では、「过」の意味と使い方・「了」との違いについてわかりやすくまとめました。
「过」の否定文・疑問文の作り方も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
「过」の役割と使い方
アスペクト助詞「过」には大きく分けて下記の2つの用法があります。
- 経験を表す
- 過去の出来事を強調する
1つずつ見ていきましょう。
用法①:経験を表す
「过」は動作動詞のうしろにつき、経験(〜したことがある)を表します。
- 吃(食べる)
- 去(行く)
- 看(見る)
- 做(作る)
- 说(話す)
語順:主語 + 動詞 + 过 + (目的語) 〜
なお、名詞文・形容詞文・存在/所有/感情/状態を表す動詞文では使えないので注意してくださいね。
例文をいくつか紹介します。
例1)我吃过北京烤鸭。
wǒ chīguò běijīng kǎoyā.
(北京ダックを食べたことがある)
例2)我看过中国的电视剧。
wǒ kànguò zhōngguó de diànshìjù.
(中国のドラマを見たことがある)
例3)我去过一趟北海道。
wǒ qùguò yí tàng běihǎidào.
(北海道に1回行ったことがある)
この用法は簡単だね!
「过」の本来の意味
「过」のもともとの意味は動詞「〜を越える」です。
そこから「ある出来事を越える → 経験したことがある」の意味が生じました。
このように漢字の「語源」に目を向ければ、そこから派生した意味を楽に覚えられますよ。
用法②:過去の出来事を強調する
アスペクト助詞「过」が「了」と一緒に使われると、「予定を済ませた」のニュアンスになります。
語順:主語 + 動詞 + 过 + (目的語) + 了 〜
下記の例文をご覧ください。
例4)我吃过饭了。
wǒ chīguò fànle.
(もうご飯食べたよ)
すでにお伝えした「过」の意味で訳すと「ご飯を食べたことがある」という日本語訳になるはず。
でも訳が違いますよね?
実はこの文には、本来の意味「経験」の意味合いは全く含まれていないんです。
ここでは「ご飯をもう済ませた」。別の言い方をすると「ご飯を食べた」という過去の出来事を強調しています。
「我吃饭了」との違い
ちなみに「我吃饭了。」は単に「ご飯を食べた」という事実を述べているに過ぎません。
「了」のみの文と「过/了」の2つがある文のニュアンスの違いが分かったかな?
「过」の否定文と疑問文
ここからは「过」の否定文と疑問文の作り方を紹介します。
「过」の否定文
「过」を含む文では、動詞の前に「没」をつけると否定文になります。
なお、「了」と違って、否定文にしても「过」は消えません。
例5)我没吃过臭豆腐。
wǒ méi chīguò chòu dòufu.
(臭豆腐を食べたことがありません。)
例6)我没去过中国。
wǒ méi qùguò zhōngguó.
(中国に行ったことがありません。)
「过」の疑問文
「过」の疑問文は5パターンあります。
- 「吗」疑問文
- 反復疑問文
(1)動詞 + (过) + 没 + 動詞 + 过
(2)文末に「没有」をつける
(3)動詞の前に「有没有」をつける - 否定疑問文
「吗」疑問文
疑問を表す語気助詞「吗」を文末におくと、最もシンプルな疑問文になります。
例7)你和日本人交往过吗?
nǐ hé rìběn rén jiāowǎngguò ma?
(日本人と付き合ったことある?)
はじめのうちは「吗」疑問文だけ覚えておけばOK!
反復疑問文
1番レパートリーが多い疑問文が「反復疑問文」。
「过」を含む文ではなんと3種類の「反復疑問文」があります。
①動詞 + (过) + 没 + 動詞 + 过
例8)你看(过)没看过火影忍者?
nǐ kàn (guò) méi kànguò huǒyǐng rěnzhě?
(NARUTO見たことある?)
「看(过)没看过」は「看过(見たことがある)」と「没看过(見たことがない)」がくっついた形です。
なお、肯定側の「过」は省略されることが多いですよ。
②文末に「没有」をつける
例9)你喝过珍珠奶茶没有?
nǐ hēguò zhēnzhū nǎichá méiyǒu?
(タピオカミルクティーを飲んだことある?)
この疑問文では「没有」のうしろに「ある文字」が隠れています。
你喝过珍珠奶茶没有(喝过珍珠奶茶)?
述語の肯定形と否定形が並んでいますよね。
「喝过珍珠奶茶」と2回言うのはあまりにもくどいため、「没有」のあとが省略されています。
③動詞の前に「有没有」をつける
例10)你有没有听过这首歌?
nǐ yǒu méiyǒu tīngguò zhè shǒu gē?
(この曲を聞いたことある?)
「有没有」は「有(ある)」と「没有(ない)」で構成されています。
つまり、「聞いたことがある?ない?」と尋ねているというわけですね。
否定疑問文
例11)你没有吃过纳豆?
nǐ méiyǒu chīguò nà dòu?
(納豆食べたことないの?)
「没有」を動詞の前におくことで、否定の疑問(〜したことがないの?)を表せます。
「了」と「过」の違い
ここからは「了」と「过」の違いを、
- 基本イメージ
- どの時点で動作・状態が完了するか
- 動作・状態の完了が現在に影響するか
の3つに分けて解説します。
基本イメージ
まずは「コアイメージ」の違いをしっかりと理解しましょう。
結論から述べると、「了」と「过」の基本イメージは下記の通り。
・「了」:変化を表す(1回限りの変化)
・「过」:何かを越える(変化は2回)
「了」はある地点で動作・状態が1回変化するイメージです。
そのため、過去・現在・未来に関わらず、どの時点でも用いることができます。
対して「过」は、過去の地点で動作・状態が2回変化するイメージ。
つまり、過去における「動作の開始〜完了」を表します。
だから「过」は経験を表すんだね!
どの時点で動作・状態が完了するか
上記のコアイメージを踏まえて、次に「どの時点で動作・状態が完了するか」の違いを考えてみましょう。
「動作・状態が持続中 → 動作・状態が終わる」という変化の場合、「了」は動作・状態の完了を表します。
変化は時間軸上のどの時点でも起きうるので、過去だけでなく、現在・未来における動作・状態の完了も示せます。
一方で「过」は、過去における「動作の完了」しか表せません。
「过」=「過去に起きたこと」と覚えておこう!
動作・状態の完了が現在に影響するか
ラストは「動作・状態の完了が現在に影響するか」を考えてみましょう。
下記の例文をご覧ください。
例12)我在中国住了三年。
wǒ zài zhōngguó zhùle sān nián.
(私は中国に3年住んでいます)
例13)我在中国住过三年。
wǒ zài zhōngguó zhùguò sān nián.
(私は中国に3年住んだことがあります)
例12)は直近3年間「中国に住んだ」という意味で、これからも住み続けるかまではわかりません。
一方で例13)は、過去のどこかの時点で「中国に3年間住んでいた」のニュアンスです。
具体的なタイミングまでは読み取れませんが、現在住んでいないことは確かです。
以上のことから、「了」は現在に影響する近い過去での完了、「过」は現在に影響しない遠い過去での完了を表すと言えますね。
「了」を2つ含む文
補足として、「了」を2つ含む文の意味もあわせて解説しておきます。
例14)我在中国住了三年了。
wǒ zài zhōngguó zhùle sān niánle.
(私は中国に3年住んでいます。(これからも住む予定))
上記の文は例12の文末に「変化を表す語気助詞(了)」がついた形です。
このように「了」を2つ含む文では「完了」+「継続」を表すことが多いですよ。
これで「了」と「过」の違いはバッチリだね!
まとめ
今回はアスペクト助詞「过」の用法と使い方、「了」と「过」の違いを解説しました。
最後におさらいしましょう。
「过」の用法と否定文・疑問文
用法 | 語順 | 否定文 | 疑問文 |
---|---|---|---|
経験を表す | 主語 + 動詞 + 过 + (目的語) 〜 | 動詞の前に「没」をつける | ①「吗」疑問文 ②反復疑問文 (1)動詞 + (过) + 没 + 動詞 + 过 (2)文末に「没有」をつける (3)動詞の前に「有没有」をつける ③否定疑問文 |
過去の出来事を強調する | 主語 + 動詞 + 过 + (目的語) + 了 〜 | 動詞の前に「没」をつける (了は消える) | 〃 |
「了」と「过」の違い
「了」 | 「过」 | |
---|---|---|
基本イメージ | 変化を表す (1回限りの変化) | 何かを越える (変化は2回) |
どの時点で動作・状態 が完了するか | 過去・現在・未来 | 過去 |
動作・状態の完了が 現在に影響するか | する (近い過去を表す) | しない (遠い過去を表す) |
今回は以上です。
最後まで読んでくれてありがとう!
「了」の用法・使い方は下記の記事で解説しています。
よければあわせてどうぞ。
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