否定文を作るとき、いつも「不」「没」どちらを使えばいいのか迷っちゃう… 2つの違いを教えてほしいな〜。
今回はこんな悩みにお答えするよ!
- 否定文の作り方
- 否定を表す副詞「不」「没」の違い
- 部分否定と全否定を表す文の作り方
中国語で否定を表す言葉「不」「没」の使い分けに困っている方も少なくないと思います。
そこで今回の記事では、否定文の作り方、「不 / 没」を使い分けるポイントを解説しました。
スムーズに否定文を作れるようになりたい方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
否定文の作り方【3つの文型に分けて解説】
中国語の否定文を作るには、否定を表す言葉「不」「没」を動詞・形容詞・助動詞の前におきます。
なぜ「動詞」「形容詞」「助動詞」の前に置くかというと、「不」「没」は「副詞」の仲間だからです。
名詞以外を修飾する言葉。
中国語では「動詞」「形容詞」「助動詞」のいずれかを修飾する。
日本語でも「今日は図書館に行かない」「私は賢くない」などと、否定「〜ない」は動詞・形容詞を修飾していますよね。
それと全く同じです。
では、「不」「没」(否定副詞)を置く位置を、「①名詞文」「②形容詞文」「③動詞文」の3つに分けて見ていきましょう。
否定副詞の位置【名詞文】
例1)我不是中国人。
wǒ búshì zhōngguó rén.
(私は中国人ではありません)
→ 動詞「是」の前におく
名詞文では「没」は使えず、「不」しか使えません。
否定副詞の位置【形容詞文】
例2)今天天气不太热。
jīntiān tiānqì bú tài rè.
(今日の天気はあまり暑くない)
※「不太」は「あまり〜ない」という意味
→ 形容詞「热」の前におく
形容詞文では、ほとんどの場合「不」を使います。
【補足】形容詞文で「没」を使うパターン
例3)我的心情还没好。
wǒ de xīnqíng hái méi hǎo.
(情緒はまだ不安定だ)
例4)香蕉还没熟。
xiāngjiāo hái méi shú.
(バナナはまだ熟していない)
「まだ実現していない」という意味合いを含めたいときに「没」を用いますよ。
また、副詞「还(まだ〜)」を伴うことが多いですね。
否定副詞の位置【動詞文】
例4)我不会说英文。
wǒ bú huì shuō yīngwén.
(私は英語を話せません)
→ 助動詞「会」の前におく
例5)我昨天没去图书馆。
wǒ zuótiān méi qù túshū guǎn.
(昨日は図書館に行かなかった)
→ 動詞「去」の前におく
動詞文の場合、助動詞があれば助動詞の前に、なければ動詞の前に「不」「没」をおきます。
これで否定文の作り方はバッチリだね!
「不」と「没」の違い【使い分けるポイント】
ここからは、動詞文で「不」「没」を使い分けるポイントを、
- 文のニュアンス
- 時制
- 行動の性質
- 単独使用の可否
- 後ろにおけない動詞
の5つに分けて解説します。
文のニュアンス
2つの否定副詞を使い分ける最も大事なポイントからお伝えします。
皆さんの中には、「不」=「現在・未来」、「没」=「過去」と覚えている方もいるかもしれません。
確かにその傾向は高いですが、実は「不」は過去に対しても使えます。
なので、時間軸だけで考えてしまうと、「え?どうしてこの文では「不」が使われてるの?」と壁にぶち当たることになります。
じゃあどう覚えればいいのか?まずはじめに頭に入れてほしいのが下記の違いです。
- 「不」:意志のニュアンスを含む
- 「没」:事実のみを伝える
「不」:意志のニュアンスを含む
意志のニュアンスを含む場合や、主観的な気持ちを表す場合は、「不」を使います。
例6)今天我不学汉语。
jīntiān wǒ bù xué hànyǔ.
(今日は中国語を勉強しない(勉強しなかった))
例7)我不想跟他说。
wǒ bùxiǎng gēn tā shuō.
(彼と話したくない)
例6)は、やる気がない / 見たいドラマがあるなどの理由から「意識的に勉強しない」という意味の文ですね。
この文は文脈によって「これから勉強しない(未来)」「勉強しなかった(過去)」の2つの訳し方ができます。
なるほど!主観的なら、過去のことでも「不」が使えるんだ!
「没」:事実のみを伝える
対して「没」は、単に事実であることを伝える際に使います。
例8)今天我没学汉语。
jīntiān wǒ méi xué hànyǔ.
(今日中国語を勉強しなかった)
例9)我没去看那个电影。
wǒ méi qù kàn nàgè diànyǐng.
(その映画を見に行きませんでした)
例8)例9)ともに、体調が悪くてやむをえず行動しなかったのか、それともやる気がなくて行動を起こさなかったのかまではわかりません。
時制
上記のポイントをおさえたうえで、次は時間軸上で「不」「没」の違いを考えてみましょう。
簡単に違いをまとめると下記の通りです。
- 「不」:過去・現在・未来を否定する
- 「没」:過去・現在を否定する
「不」:過去・現在・未来を否定する
「不」は時間軸上のすべての点における「感情」「状態」「動作」を否定できます。
感情・状態動詞(喜欢/知道/觉得など)
例10)我以前不喜欢吃面包。
wǒ yǐqián bù xǐhuān chī miànbāo.
(昔はパンが好きじゃなかった)
→ 過去を否定
例11)我现在不喜欢吃面包。
wǒ xiànzài bù xǐhuān chī miànbāo.
(今はパンが好きじゃない)
→ 現在を否定
例12)我不觉得这本书有意思。
wǒ bù juédé zhè běn shū yǒuyìsi.
(この本が面白いとは思わない)
→ 過去・現在・未来を否定
上記の例文はすべて主観的な情報です。
動作動詞
例13)昨天我不玩游戏。
zuótiān wǒ bù wán yóuxì.
(昨日はゲームしなかった)
→ 過去を否定
例14)今天我不玩游戏。
jīntiān wǒ bù wán yóuxì.
(今日はゲームしない)
→ 現在・未来を否定
例15)我不玩游戏。
wǒ bù wán yóuxì.
(私はゲームしない)
→ 過去・現在・未来を否定
動作動詞につく場合、意志のニュアンスが込められていますよ。
「没」:過去・現在を否定する
「没」は過去・現在を否定します。
事実(〜だ/〜だった)って「これまで起きたこと」もしくは「たった今起きたこと」を指しますよね。
これからどうなるかわからない未来のことを事実として伝えるのは不可能です。
なので、「没」は過去・現在の文で使われますよ。
状態動詞(懂など)
例16)我没听懂。
wǒ méi tīng dǒng.
(聞き取れなかった / 理解できなかった)
「今聞いて、その結果わからなかった」という事実を表しています。
動作動詞
動作動詞の前に「没」がつく場合は、
- 現在まで〜していない(したことがない)
- ピンポイントで〜しなかった
の2つの意味を表します。
例17)我没去过中国。
wǒ méi qùguò zhōngguó.
(今まで中国に行ったことがない)
「今まで〜したことがない」と経験を表したいときは、助詞「过」を動詞のあとにつけます。
例18)我昨天没上班。
wǒ zuótiān méi shàngbān.
(昨日は仕事に行かなかった)
昨日という時点において仕事に行かなかったの意味ですね。
行動の性質
次に「行動の性質」から「不」「没」の違いを考えてみましょう。
- 「不」:習慣的な行動を否定する
- 「没」:動作の完了を否定する
「不」:習慣的な行動を否定する
「不」は日常の中で繰り返される行動に対して使います。
例19)我不开车。
wǒ bù kāichē.
(車を運転しない)
運転する習慣がない(ずっと車を運転しない)といった意味合いが含まれていますよ。
都会に住んでいる人にぴったりのフレーズだね。
「没」:動作の完了を否定する
一方で「没」は動作が完了していないことを表します。
例20)我今天没开车。
wǒ jīntiān méi kāichē.
(今日は車を運転しなかった)
この文が言っているのは「車を運転しなかった」という事実。ただそれだけです。
単独使用の可否
- 「不」:単独で使える
- 「没」:単独で使えない
相手の問いかけに対する返答内で「不」は単独で使えますが、「没」は単独で使えません。
例21)
A:今天要不一起去吃晚饭?
jīntiān yào bù yīqǐ qù chī wǎnfàn?
(今日晩飯行かない?)
B:不。(行かない)
あと、何か言い間違えた時にもよく「不」って言うよ!
例22)
A:你吃过榴莲吗?
nǐ chīguò liúlián ma?
(ドリアン食べたことある?)
B:没有。(食べたことない)
このように「没」は「有」と一緒に使います。
後ろにおけない動詞
「不」「没」ともに、後ろにとることができない動詞があります。
- 「不」:所有を表す動詞
- 「没」:一部の状態動詞
所有を表す動詞「有」の前には「没」しかおけません。
例23)我没有女朋友。
wǒ méiyǒu nǚ péngyǒu.
(彼女がいません)
例24)我没有被诈骗的经验。
wǒ méiyǒu bèi zhàpiàn de jīngyàn.
(詐欺にあった経験がない)
また、一部の状態動詞(喜欢 / 觉得 / 知道 / 像)の前には「不」しかおけません。
例25)我不喜欢红茶。
wǒ bù xǐhuān hóngchá.
(紅茶が好きではない)
例26)我不知道女生心里。
wǒ bù zhīdào nǚshēng xīnlǐ.
(女性の気持ちがわからない)
部分否定・全否定を表す文の作り方
最後に、部分否定と全否定を表す文を紹介します。
部分否定の表し方
副詞(都 / 太)の前に「不」をおくと、部分否定を表せます。
例27)我们不都是日本人。
wǒmen bù dōu shì rìběn rén.
(私たちはみんな日本人というわけではない)
「不(〜でない)」が「都(みんな)」を修飾 → 「みんな〜というわけではない」
つまり部分否定となるわけです。
例28)我不太会说中文。
wǒ bú tài huì shuō zhōngwén.
(あまり上手に中国語を話せない)
全否定の表し方
全否定の表し方は下記の3パターンです。
- 副詞「都」の後ろに「不」をおく
- 疑問詞 + 都 + 没(有)〜
- 一 + 量詞 + 也(都) + 没 〜
副詞「都」の後ろに「不」をおく
「意味」みんな〜ではない
例29)我们都不是日本人。
wǒmen dōu búshì rìběn rén.
(私たちはみんな日本人ではない)
部分否定の逆の形ですね。
「都(みんな)」が「不(〜でない)」を修飾 → 「みんな〜ではない」となります。
疑問詞 + 都 + 没(有)〜
「意味」
・谁都没〜(誰も〜ない)
・什么都没〜(何も〜ない)
・哪里(哪儿)都没〜(どこにも〜ない)
例30)谁都没在家。
shéi dōu méi zàijiā.
(誰も家にいない)
例31)我今天什么都没做。
wǒ jīntiān shénme dōu méi zuò.
(今日何もしてない)
例32)昨天我哪里都没去。
zuótiān wǒ nǎlǐ dōu méi qù.
(昨日どこにも行かなかった)
一 + 量詞 + 也(都) + 没 〜
「意味」1つも〜ない
例33)一次也没吃过榴莲。
yícì yě méi chīguò liúlián.
(一度もドリアンを食べたことがない)
例34)这周一天都没有放假。
zhè zhōu yìtiān dū méiyǒu fàngjià.
(今週は1日も休みがない)
まとめ
今回は中国語の否定文の作り方と、「不」「没」の違いを解説しました。
最後におさらいしましょう。
- 名詞文:「不」を「是」の前におく
- 形容詞文:「不」「没」を形容詞の前におく
- 動詞文:「不」「没」を動詞・助動詞の前におく
「不」と「没」の違い
「不」 | 「没」 | |
---|---|---|
文の意味合い | 意志のニュアンスを含む (主観的) | 単に事実であることを伝える (客観的) |
時制 | 過去・現在・未来 | 過去・現在 |
行動の性質 | 習慣的な行動 | 動作の完了 |
単独使用の可否 | ||
後ろにおけない動詞 | 所有を表す動詞「有」 | 一部の状態動詞 「喜欢/觉得/知道/像など」 |
部分否定と全否定を表す文の作り方
「不」 | 「没」 | |
---|---|---|
部分否定 | 不都〜 / 不太〜 | |
全否定 | 都不〜 | 疑問詞 + 都 + 没(有)〜 一 + 量詞 + 也(都) + 没 〜 |
今回は以上です。
最後まで読んでくれてありがとう!
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