「把」構文がいまいちよくわからない… できれば例文付きで使い方をわかりやすく教えてほしいな〜。
今回はこんな悩みにお答えするよ!
- 「把」構文の役割と語順
- 「把」構文が使える3つの条件
- 「把」構文でしか使えない動詞
英語や日本語にはない中国語の独特な文型「把」構文。
その見慣れない文型に頭を悩ましている方も多いのではないでしょうか?
そこで当記事では、「把」構文の役割に加え、「把」構文が使える3つの条件をわかりやすくまとめました。
「把」構文の使い方をマスターしたい方はぜひ参考にしてみてくださいね。
「把」構文とは?【役割と語順】
「把」構文とは、動作の対象(目的語)を強調する文です。
このように「動作の対象」にスポットライトを当てて、対象がどうなのか?どうなるのか?どこに向かうのか?を表します。
把構文の語順
普通の動詞文:S(主語) + V(動詞) + O(目的語)
把構文:S(主語) + 把 + O(目的語) + V(動詞) + 〜
「把構文」では、動詞と目的語の位置が逆になり、さらに目的語の前に「把」がつきます。
例文を見てみましょう。
例)我把昨天记住的单词忘了。
(昨日覚えた単語忘れちゃった)
wǒ bǎ zuótiān jì zhù de dāncí wàng le.
「通常の文」我忘了昨天记住的单词。
例)我把钥匙放在桌子上了。
(鍵を机の上に置いた)
wǒ zài fángjiān lǐ wàngle yàoshi.
「通常の文」我在桌子上放了钥匙。
「副詞」「助動詞」の位置
把構文で副詞・助動詞を使う場合は、「把」の前におきます。
例)我不想把你交给任何人。
wǒ bùxiǎng bǎ nǐ jiāo gěi rènhé rén.
(あなたを誰にも渡したくない)
例)你快点把那份作业做完。
nǐ kuài diǎn bǎ nà fèn zuòyè zuò wán.
(できるだけ早く宿題を終わらせなさい)
「把」の品詞について
「把構文」で使われる「把」は「前置詞」です。
「把」の意味はもともと動詞「〜をつかむ」でしたが、そこから派生して前置詞「〜を(どこかに移動させる / 変化させる)の意味が生じました。
本来の意味「〜をつかむ」は、この後紹介する「把構文が使える3つの条件」にも関係することなので、あわせて覚えておきましょう。
「把」構文が使える3つの条件
「把」構文は下記の3つの条件をすべて満たす文で使えます。
- 動作を加える動詞を含む
- 文末が動詞単体で終わらない
- 目的語に特定の人/ものがくる
1つずつみていきましょう。
動作を加える動詞を含む
「把」構文では、必ず「対象(人/もの)に動作を加える動詞」を使わなければなりません。
例えば下記の文。
我借给他了这本书。
wǒ jiè gěi tāle zhè běn shū.
(この本を彼に貸した。)
動詞「借给 (〜を貸す)」は対象「这本书 (この本)」に動作を加えていますよね。
なのでこの文は「把」構文で表せます。
把这本书借给他了。
(この本を彼に貸した。)
では、下記の例文はどうでしょうか?
我喜欢这本书。
wǒ xǐhuān zhè běn shū.
(この本が好きだ。)
「喜欢 (〜が好きだ)」は感情を表す動詞。対象「这本书」に動作を加えてないので、把構文は使えません。
把这本书喜欢。
(この本が好きです)
このように、動作を加えない動詞(状態・感情・感覚を表す動詞など)を含む文は「把」構文にできないので、気をつけてくださいね。
【補足】「把」構文が使えない動詞の例
状態を表す動詞 | 是 (〜である) 好像 (〜のようだ) 属于 (〜に属する) |
---|---|
感情を表す動詞 | 喜欢 (〜が好き) 高兴 (〜して嬉しい) 享受 (〜を楽しむ) |
感覚を表す動詞 | 知道/明白/懂 (わかる) 觉得/认为/以为 (〜だと思う) |
存在(現象)を表す動詞 | 在/有 (〜にいる/〜にある) 出现/消失 (現われる/消える) 下 (〜が降る) |
文末が動詞単体で終わらない
把構文では、動詞単体で文を終わらせることはできません。
必ず動詞のうしろに「動作の段階(どんな状態?)」「動作の結果(どうなる?)」「動作の方向(どこに向かう?)」を表す言葉をつける必要があります。
動詞の後ろにつくもの
- アスペクト助詞(了 / 着)
- 前置詞フレーズ
- 人を表す名詞
- 補語
例を1つずつ挙げますね。
「動詞」+「アスペクト助詞」
例)我还是把伞带着。
wǒ háishì bǎ sǎn dài zhe.
(やっぱり傘を持っていく)
→ アスペクト助詞「着」が動詞「带」のうしろについている
例)我把钱包掉了。
wǒ bǎ qiánbāo diào le.
(財布を落としちゃった。)
→ アスペクト助詞「了」が動詞「掉」のうしろについている
「動詞」+「前置詞フレーズ」
例)我把这本书放在桌子上了。
wǒ bǎ zhè běn shū fàng zài zhuōzi shàng le.
(この本を机の上に置いた)
→ 前置詞フレーズ「在桌子上」が動詞「放」のうしろについている
「動詞」+「人を表す名詞」
例)可以把酱油给我吗?
kěyǐ bǎ jiàngyóu gěi wǒ ma?
(醤油とってくれない?)
→ 人称代名詞「我」が動詞「给」のうしろについている
「動詞」+「補語」
例)我把日元换成了人民币。
wǒ bǎ rì yuán huàn chéngle rénmínbì.
(日本円を元に換金した)
→ 結果補語「成」が動詞「换」の後についている
例)我把这些行李搬下来。
wǒ bǎ zhèxiē xínglǐ bān xiàlái.
(これらの荷物を下に運びます)
→ 方向補語「下来」が動詞「搬」のうしろについている
「把」構文では「動詞」+「動作の段階・結果・方向を表す単語」をセットで使うと覚えておこう!
目的語に特定の人/ものがくる
把構文では、目的語に「特定の人/もの」をおかなければなりません。
先ほどお伝えした「把」の本来の意味を覚えてますか?「〜をつかむ」でしたよね?
そこから「手で掴めるもの」→「特定の人/もの」というイメージで覚えましょう。
把这本书读完了。
wǒ bǎ zhè běn shū dú wánle.
(この本を読み終えました。)
把昨天买的书读完了。
wǒ bǎ zuótiān mǎi de shū dú wánle.
(昨日買った本を読み終えました。)
把一本书读完了。
wǒ bǎ yī běn shū dú wánle.
(1冊の本を読み終えました。)
上2つの例文はどちらも特定の本を指すので「把構文」にできますが、最後の例文は不特定の本を指すので「把構文」では表せません。
【応用編】把構文でしか使えない動詞
すでにお伝えしたとおり、「把」構文は動作の対象(目的語)を強調する文です。
なので、別に強調したくない場合は「普通の文型(SVO)」で表しても別に問題ありません。
ただ、下記の2つに当てはまる動詞を含む場合は、「把」構文を使う必要があります。
- 場所(空間)以外の目的語を2つ必要とする
- うしろに目的語を1つしかとれない
代表的な動詞は次の通りです。
- 把A翻译B(AをBに翻訳する)
翻译AB - 把A换B(AをBに変える)
换AB - 把A作为B(AをBとする)
作为AB
例文を見てみましょう。
例)我把日元换成了人民币。
wǒ bǎ rì yuán huàn chéngle rénmínbì.
(日本円を元に換金した)
例)他把中文翻译成日语。
tā bǎ zhōngwén fānyì chéng rìyǔ.
(彼は中国語を日本語に翻訳できる)
例)我把你的意见作为参考。
wǒ bǎ nǐ de yìjiàn zuòwéi cānkǎo.
(あなたの意見を参考にする)
今のところ、私が見つけた「把」構文でしか使えない動詞は上記の3つです。
おそらく他にもあると思うので、もし見つけた方はコメント欄で教えてください(>人<;)
まとめ
今回は「把構文」の役割と「把構文」が使える3つの条件をそれぞれ解説しました。
最後に学んだ内容をおさらいしましょう。
動作の対象(目的語)を強調する
(対象はどんな状態なのか?どうなるのか?どこに向かうのか?を表す)
主語 + 把 + 目的語 + 動詞 + 〜
(副詞・助動詞は「把」の前におく)
- 動作を加える動詞を含む
- 文末が動詞単体で終わらない
- 目的語に特定の人/ものがくる
今回は以上です。
最後まで読んでくれてありがとう!
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